新・相続の基礎知識⑨―遺言の意義、効力―

―目次―

第1 はじめに

第2 遺言の意義

第3 遺言の効力

▎▎第1 はじめに

 相続を巡ってトラブルに発展することが多々あることから「相続」のことを「争族」と表現することがあります。争族を回避するための方策の一つとして、遺言があります。本稿では、遺言の意義と効力について説明いたします。

▎▎第2 遺言の意義

 遺言とは、「遺言を行った人が亡くなった時に、相続等に関し、一定の効果を発生させることを目的とする行為」のことです。

もし、被相続人の生前に被相続人の意向に従って遺産の分け方について話合いがまとまっていたとしても、相続人が被相続人の意向に逆らえず、表向き納得したような態度をとっているだけの場合があります。また、相続が開始されたとたんに気持ちが変わってしまい、もっと財産を相続したいと考える相続人もいるかもしれません。生前に行った話合いの結果を無駄にせず、そこで決めた内容をそのまま相続に反映させるためには、話合いの結果を遺言として残しておく必要があります。

 また、被相続人の生前から相続人同士の仲が悪く、そもそも話合いさえできないことも世の中には少なくないでしょう。このような場合には、話合いによって争族を回避することは困難です。

  遺言は、被相続人の生前に被相続人と相続人の間で話し合いができる場合であっても、話し合いができない場合であっても、争続回避の手段として非常に有効です。他にも、被相続人の財産が膨大で分割の方法が難しい場合や、被相続人が特定の財産を特定の相続人に取得させたい等分割の方法に希望がある場合には、遺言をするのが適切です。

 そのため、是非とも遺言を残しておくべきですが、簡単そうにみえて意外に難しいのが遺言です。せっかく遺言を残したにもかかわらず、その効力が認められないという事態を避けるために、遺言を作成する際には、弁護士等の専門家にご相談することをお勧め致します。

▎▎第3 遺言の効力

 では、遺言にはどのような効力があるのでしょうか。

 遺言は、遺言者が生前に行うものですが、遺言に効力が生じるのは、遺言者が死亡したときです(民985①)。

 また、遺言が有効に成立している場合、遺言について利害関係がある人であっても、遺言の内容について、争うことができません。たとえば、父親が長男と次男について、財産を半分ずつ相続させるという遺言を残していたとします。この例で、次男が、生前父親の面倒を見ていた場合、自分の方が多く財産を相続すべきだと主張することが考えられます。しかし、父親が上記のような内容の遺言を残している以上、次男は自分が父親の面倒を見ていたことを理由に、遺言の内容を否定し、争うことはできません。なお、遺言の内容が特定の相続人にとって不利な場合や、相続人ではない者に多くの財産が遺贈される場合などには、相続人は遺留分侵害額請求を行い、一定の範囲で、遺言の内容の修正(ただし、金銭的な補填を受けるに留まります。)を求めることができます。

 さらに、遺言の効力が発生するために、特別な措置をとる必要もありません。もっとも、遺言によって定めることができる事項の中には、相続人廃除のように、たんに遺言に定めるだけではその効力が発生せず、さらに特別の手続(相続人廃除の場合には、家庭裁判所に対する廃除の請求と家庭裁判所による廃除の審判、民893)が必要となるものもあります。また、自筆証書遺言及び秘密証書遺言の場合は、原則として検認を経る必要があります(民1004①)

 特別な手続を必要とする事項や、遺言者の死亡後にどのような手続をとることを要求されるのかは、法律等及び家庭裁判所の運用によるところであり、複雑な側面があります。そのため、遺言書を作成される際には、一度、弁護士等の専門家にご相談した上で、遺言執行者として弁護士等の専門家を指定することをお勧めします。

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