相続の手引き⑭-相続人資格の重複がある場合の法定相続分Ⅱ
【事例】 甲には配偶者A、子Bと、元内縁の妻との間にできた非嫡出子Cがおり、甲はCを養子にしている。 |
上記の事例において、Cは非嫡出子としての地位と養子としての地位を併せ持つことになります。このとき、Cの法定相続分についてどのように考えればよいでしょうか。
相続資格が重複する場合の法定相続分に関して、通説・実務では、その身分が相互に排斥しあう関係にない限り重複が認められると解されています。
実親が非嫡出子を養子にした場合、非嫡出子は嫡出子の身分を取得します(民法809条)。そのため、実親が非嫡出子を養子にする主たる目的は、非嫡出子である実子に嫡出子の身分を与えることにあるものと考えられます。そして、非嫡出子の地位と嫡出子の地位は両立せず、相互に排斥する関係にあります。
よって、通説では、被相続人の非嫡出子が被相続人の養子となった場合、当該養子は非嫡出子としての法的地位を失い、その相続資格は養子(嫡出子)の地位に限定されると解されています。
そうすると、上記の事例において、法定相続分はAが1/2、B及びCが各1/4となります。