相続の手引き㉛ 相続分の譲渡⑵
⑷ 特別の寄与を行った相続分譲渡人が相続分を譲渡した場合
【事例】
被相続人には、相続人が配偶者Aと子3人(B、C、D)の合計4名がいた場合において、認知症の被相続人の療養看護を10年間していたBがCに対して自己の相続分を有償で全部譲渡した場合、CがBから譲受したBの相続分について寄与分を主張できるでしょうか。
相続分の譲渡は、相続人たる地位を失うのではなく、相続分譲渡人は、遺産全体に対する割合的な持分を失うにすぎません。
そして、相続分譲渡人が譲渡する割合的持分は、相続人たる地位を有する相続分譲渡人の特別受益や寄与分を考慮して具体的な相続分として確定されます。
そのため、相続分譲受人はかかる具体的相続分を譲り受けることになるため、当然に相続分譲渡人の寄与分を主張することができます。
本件では、相続人の各法定相続分は、Aが2分の1、Bが0、Cが3分の1、Dが6分の1となり、CはBの相続分について寄与分を主張することができます。
(続く)