相続法の概要③ ー相続における一般的な手続の流れⅡー

4.遺言書の有無の確認

 遺産分割協議を行うに当たって、遺言書の有無を確認することは不可欠です。なぜなら、遺言が存在する場合、各相続人は、原則として遺言の内容に従って相続財産を承継することになる一方、遺言がない場合には、相続人が協議して遺産分割を行う必要が生じるからです。

5.相続人の調査

 遺産分割協議を行うに当たって、相続人の調査を行うことも必要不可欠となります。

 なぜなら、被相続人に相続人が関知していない他の相続人が存在していた場合には、その者も含めて遺産分割協議を行う必要があるところ、仮に当該相続人を除外して一部の者のみで遺産分割協議を行ったときには、当該遺産分割協議は無効となるからです。

 相続人の調査は、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本を取得して行うことになります。

6.相続財産の調査

 相続財産の調査は、遺産分割協議を行う準備のためのほか、限定承認又は相続放棄を行うか否かを判断するためにも必要不可欠となります。

 ここで、限定承認とは、被相続人が債務を負担しており、相続財産によりこれを弁済した場合であっても、なお残余財産が生じる場合にのみ相続をする旨の申述をいい(民法第922条)、相続放棄は、被相続人を一切相続しない旨の申述をいいます(同法第915条第1項)。

 限定承認や相続放棄に係る申述には期間制限があり、相続の開始があったことを知った時から、3か月以内に行う必要があります(同)。

 限定承認や相続放棄を行うか否かは、相続財産の中に債務があるかどうか、債務があるとしても、相続財産のみで支払うことができるかどうかを確認しなければ、適切な判断を行うことが困難です。

 したがいまして、遺産分割協議を行う場合はもとより、限定承認や相続放棄を行うか否かを検討するためにも、被相続人が死亡した後、速やかに相続財産の有無及び内容を調査する必要があります。

7.限定承認、相続放棄

 相続財産の調査を行い、被相続人を相続したとしても、債務を負担することが明らかである場合には、特段の事情がない限り相続放棄を行うことになります。

 共同相続の場合に限定承認をするには共同相続人全員で行わなければなりません(民法923条)。限定承認に同意しない共同相続人がいる場合、債務の承継を免れるためには、相続放棄をする必要があります。

 前記のとおり、限定承認や相続放棄の申述については、相続の開始があったことを知った時から、3か月以内に行う必要があります。

 また、限定承認や相続放棄の申述は、家庭裁判所に対して行います(民法第924条、同第938条)。

 なお、これらの申述を3か月以内に行わなかった場合には、単純承認をしたものとみなされ(民法第921条第2号)、債務を含めて、相続財産の全てを相続してしまうことになりますので注意が必要です。

8.検認

 遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、検認を請求しなければなりません(民法第1004条第1項)。

 検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

 なお、公正証書遺言の場合、及び自筆証書遺言の保管制度を利用した場合については、検認の手続は不要です(民法第1004条第2項、遺言書保管法第11条)。

ページトップへ戻ります