相続の基礎知識㊸-遺留分制度に関する見直しⅡ-
3 遺留分の算定方法の見直し
(1)遺留分を算定するための財産の価額
ア 相続人に対する生前贈与の範囲
相続人に対する贈与については、相続開始前の10年間にされたものに限り、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に参入するものとされました。算入する贈与は、婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与、すなわち特別受益(民法903条①)に限られます(民法1044条③)。相続開始前の10年間の贈与に制限されたため、贈与した被相続人の意思が尊重されることになります。
なお、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、相続人以外は1年前の日より前にされたもの、相続人は10年前の日より前にされたものについても算入されます。
<遺留分を算定するための財産の価額に算入される贈与>
イ 負担付贈与
負担付贈与がされた場合の遺留分を算定するための財産の価額に参入する価額は、目的財産の価額から負担の価額を控除した額となります(民法1045条①)。
ウ 不相当な対価による有償行為
不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなします(民法1045条②)。
<続く>