相続の手引き⑮ 遺言がある場合の相続

1 遺言による指定相続分

 遺言によって相続人の相続分について法定相続分の割合と異なった割合を指定することが認められています(民法902条)。

 もっとも、遺留分を侵害する相続分の指定がされた場合には、これによって利益を受けた相続人は遺留分侵害額を請求されうる立場にあります(民法1046条1項)。

2 遺言による指定相続分がある場合の相続債務

⑴ 相続債務の債権者による各相続人に対する債務の履行請求

 相続債務の債権者は、遺言によって相続分の指定がされた場合であっても、各相続人に対して、法定相続分に応じて相続債務の履行を請求できますが(民法902条の2本文)、相続債務の債権者が相続人の一人に対して指定相続分に応じた債務の承継を承認するとその後は指定相続分に応じた権利行使しかできません(民法902条の2但書)。

⑵ 共同相続人に対する求償権の行使

 相続債務の相続人間の内部的な負担割合は指定相続分の割合となります。

 そのため、法定相続分を下回る相続分の指定がされた相続人が、相続債権者に対して法定相続分に応じた債務の支払をした場合には、法定相続分を上回る相続分の指定がされた相続人に対して求償権を行使することができます。

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