相続の基礎知識㊷-遺留分制度に関する見直しⅠ-
1 はじめに
遺留分制度については、①遺留分減殺請求権の効力及び法的性質、②遺留分の算定方法、③遺留分侵害額の算定における債務の取扱いに関して、改正されました。遺留分制度に関する新たな規定は、令和元年7月1日に施行されています。
2 遺留分減殺請求権の効力及び法的性質の見直し
遺留分減殺請求権については、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する遺留分侵害額請求権へと効力及び法的性質が変更されました(民法1046条)。
改正前は、遺留分減殺請求権の行使によって株式や事業用不動産の共有状態が生じることから、円滑な事業承継に支障が生じるとして改正されました。
金銭債権化したことから、金銭を直ちに準備できない受遺者又は受贈者の利益を図るため、受遺者等の請求により、裁判所は、負担する全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができるとされました(民法1047条⑤)。
遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、相続開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年で時効消滅します。また、相続開始時から10年経過したときも同様です(民法1048条)。
<続く>