「非上場会社のための株主管理・株主対策Q&A」会社法を遵守した株主総会②

【Q1】株主総会を開催せず、議事録だけを作成している会社にはどのようなリスクがありますか。

【Q2】株主総会にはどのような種類や決議方法があり、取締役会設置会社と非設置会社では役割にどのような違いがありますか。

【Q3】株主総会の招集手続に不備があると、どのような法的リスクが生じますか。

【Q4】株主総会の運営に不備があった場合、どのようなリスクが生じ、どの点に注意すべきですか。

【Q5】株主総会を省略・簡略化する特殊な手続にはどのようなものがあり、利用時の注意点は何ですか。

【Q6】過去の株主総会に瑕疵がある場合、どのような方法でその不備を是正できますか。

【Q2】株主総会にはどのような種類や決議方法があり、取締役会設置会社と非設置会社では役割にどのような違いがありますか。

【A】株主総会には普通決議・特別決議などがあり、決議要件も異なります。取締役会設置会社では決議事項が法令・定款に限定される一方、非設置会社では会社の幅広い事項を株主総会で決議できます。

(解説)

1 株主総会の権限の違い

株主総会の役割は、会社が取締役会を設置しているかどうかによって大きく異なります。

取締役会設置会社では、株主総会は法令または定款で定められた事項に限って決議することができます(会社法295条2項)。また、株主総会では、招集通知に記載された目的事項の範囲内でしか決議を行うことができません(会社法309条5項)。

これに対し、取締役会非設置会社では、株主総会が会社の基本的な意思決定機関として広い権限を持ちます。法令に定められた事項だけでなく、会社に関する様々な事項について決議することが可能であり、招集通知に記載されていない事項でも決議できる点に特徴があります。
 このように、取締役会設置会社では経営判断の多くを取締役会が担うのに対し、非設置会社では株主総会がより中心的な役割を果たします。

2 株主総会決議の種類

株主総会の決議には主に次の3つがあります。
①普通決議(会社法309条1項)
②特別決議(会社法309条2項)
③特殊決議(会社法309条3項、4項)

特に実務で重要なのは普通決議と特別決議です。

普通決議は、議決権を行使できる株主の過半数の議決権を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の過半数の賛成で成立します。

特別決議は、議決権を行使できる株主の過半数の議決権を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

なお、定款で定足数を緩和することもできますが、特別決議の場合は3分の1以上の議決権を有する株主の出席が必要とされています(会社法309条2項かっこ書き)。
 特別決議が必要となる事項には、定款変更、事業譲渡、減資、合併契約の承認、会社の解散など、会社の重要な意思決定が含まれます。

3 定時株主総会と臨時株主総会

株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会の2種類があります。

定時株主総会は、毎事業年度終了後の一定の時期に招集しなければならないとされています(会社法296条1項)。
 一方、必要に応じて開催されるものが臨時株主総会であり、定時株主総会以外に招集される株主総会を指します(会社法296条2項)。

定時株主総会の開催時期は会社法では具体的な期限が定められていませんが、「事業年度終了後一定の時期」とされています。多くの会社では定款により事業年度末から3か月以内と定められており、上場企業では3月決算・6月総会という形が一般的です。
中小企業では、法人税申告との関係から、決算日から約2か月後に開催する例も多く見られます。

4 基準日制度

株主総会の議決権行使に関係する制度として基準日制度があります。

これは、会社が特定の日を定め、その日時点で株主名簿に記載されている株主を、一定の権利を行使できる株主として確定させる制度です(会社法124条)。

一般的には、事業年度末日を基準日とし、その時点の株主が定時株主総会で議決権を行使できる株主とされています。

なお、基準日は権利を行使させる日から3か月以内でなければならないとされています(会社法124条2項)。この規定との関係から、多くの会社では事業年度末日から3か月以内に定時株主総会を開催しています。

「非上場会社のための株主管理・株主対策Q&A」会社法を遵守した株主総会①

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