「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」競業取引・利益相反取引・利益供与4-競業取引④-

【目次】

➡1 競業取引

 2 利益相反取引

 3 利益供与

4 取締役の責任

取締役が競業取引を行った場合、対立する株主により株主代表訴訟を提訴されるリスクがあります。

競業取引をした取締役が、競業取引について承認を得ていない場合は、法令違反ですので任務懈怠となり、損害賠償責任を負います(会社法423条1項)。責任を追及された取締役は、裁判上、法令に違反することについて故意・過失のなかったことを主張・立証しなければ責任を免れず、免責されるのは相当困難でしょう。さらに他の取締役も監視義務違反を問われるリスクがあります。

また、責任を追及する側の立証の負担を軽減するために、取締役又は第三者の得た利益が会社の損害額と推定されます(会社法423条2項)。

さらに、承認を得ていない場合は、取締役解任の正当事由になり(会社法339条2項)、取締役解任の訴えの理由になります(会社法854条)。

一方、承認決議がある場合であっても、競業取引によって会社の損害が発生した場合には、別途善管注意義務違反が発生する可能性があります。

現在又は潜在的に対立する少数株主が存在する場合には、可能な限り競業取引は避けるべきでしょう。

<続く>

「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」競業取引・利益相反取引・利益供与5-利益相反取引①-

加藤&パートナーズ法律事務所(大阪市北区西天満)では、関西を中心に非上場株式が関わる相続(遺産分割、遺留分侵害額請求等)、事業承継(遺言、株主対策、規程類整備等)、非上場株式の換価・売却に関するご相談・ご依頼をお受けしております。

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