「非上場会社のための株主管理・株主対策Q&A」会社法を遵守した株主総会①

➡【Q1】株主総会を開催せず、議事録だけを作成している会社にはどのようなリスクがありますか。

【Q2】株主総会にはどのような種類や決議方法があり、取締役会設置会社と非設置会社では役割にどのような違いがありますか。

【Q3】株主総会の招集手続に不備があると、どのような法的リスクが生じますか。

【Q4】株主総会の運営に不備があった場合、どのようなリスクが生じ、どの点に注意すべきですか。

【Q5】株主総会を省略・簡略化する特殊な手続にはどのようなものがあり、利用時の注意点は何ですか。

【Q6】過去の株主総会に瑕疵がある場合、どのような方法でその不備を是正できますか。

【Q1】株主総会を開催せず、議事録だけを作成している会社にはどのようなリスクがありますか

【A】株主総会を実際に開催していない場合、少数株主から「株主総会決議不存在確認請求訴訟」(会社法830条1項)や株主総会決議取消訴訟(会社法831条)を提起され、役員の地位や報酬の根拠など決議した事項の効力が否定される可能性があります。

(解説)中小企業では、実際には株主総会を開催していないにもかかわらず、登記変更のために株主総会議事録だけを作成しているケースが見受けられます。また、株主と役員が重複していることを理由に、役員会を株主総会とみなして運営している会社もありますが、会社法に基づく招集手続を行わず、一部株主に参加の機会を与えていない場合には問題が生じます。

株主総会を開催しない理由としては、これまで問題が起きていない、周囲の企業でも開催していない、手続が難しそうである、突然開催すると対立を招きかねないなどが挙げられます。しかし、相続などによって株式が分散すれば、少数株主が権利を行使する可能性があり、将来的に紛争が生じるおそれがあります。

会社法には、株主総会の決議が存在しないことの確認を求める訴訟として「株主総会決議不存在確認請求訴訟」(会社法830条1項)が定められています。この訴訟が認められると、議事録上は決議があったとされていても、実際には決議が存在しなかったことが裁判上確認されます。その結果、代表取締役・取締役・監査役の選任決議も無効となり、役員の地位自体が否定される可能性があります。さらに、役員報酬や退職慰労金の支給根拠についても疑義が生じるおそれがあります。

しかも、この訴訟は1株しか保有していない株主でも提起することが可能です。経営陣側が多数株式を保有していても、訴訟提起のリスクがなくなるわけではありません。

また、主要株主のみが集まった会議を株主総会として扱っている場合でも、他の株主に参加機会が与えられていなければ、「株主総会決議取消訴訟」(会社法831条)の対象となる可能性があります。

このような法的リスクを避けるためにも、会社は少なくとも年1回の定時株主総会を実際に開催することが重要であり、適切な招集手続と議事運営を行う体制を整えることが望まれます。


加藤&パートナーズ法律事務所(大阪市北区西天満)では、関西を中心に会社法、会社内部紛争、事業承継、株主対策に関するご相談・ご依頼をお受けしております。

ページトップへ戻ります