事業承継⑥種類株式の活用

株式会社では、定款に定めることによって、普通株式とは別に「権利の内容が異なる株式」を発行することができます。これを「種類株式」といいます。

以下では、種類株式のうち、事業承継に活用できるものをご紹介します。

①無議決権株式

議決権制限株式とは、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限が付された株式をいいます。

これを活用すれば、現経営者の保有する株式の一部を無議決権株式に変更した上で、後継者となる相続人には普通株式を取得させ、それ以外の相続人には議決権制限株式を取得させる、といったことができます。

こうすることで、贈与税の負担等の関係で後継者に全ての株式を取得させることが難しい場合であっても、後継者だけに経営権を承継することが可能となります。また、後継者がすべての株式を承継する場合と比して、他の相続人の遺留分を侵害するリスクも低減されます。

②拒否権付株式(黄金株)

拒否権付株式とは、一般に「黄金株」と言われるもので、株主総会や取締役会の決議事項の全部または一部について、普通株式による決議や取締役会決議とは別に、拒否権付株式を持つ株主だけの種類株主総会の承認を必要とするものをいいます。

先代経営者にて拒否権付株式を1株保有しておけば、普通株式の全てを後継者に生前贈与したとしても、先代経営者はいざというときには拒否権を有しているため、安心して後継者に経営を任せることが可能となります。

③取締役・監査役の選任に関する種類株式

取締役・監査役の選任に関する種類株式とは、取締役・監査役の選任を当該種類株式を持つ株主を構成員とする種類株主総会で行なうものとする種類株式のことをいいます。

先代経営者において当該種類株式を保有しておけば、普通株式の全てを後継者に生前贈与したとしても、役員人事を掌握することで、後継者をコントロールすることが可能となります。

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