「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」 コンプライアンス経営の重要性5-取締役等を対象とする刑事処分・行政処分-

取締役等が自己もしくは第三者の利益を図りまたは会社に損害を加える目的で、会社に財産上の損害を加えたときには特別背任罪(会社法960条1項)が成立する可能性があります。特別背任罪のように、法令に違反する行為について経営陣を対象とする刑事罰が定められています。

株主の権利行使に関し、利益を供与した場合にも同様です(会社法970条1項)。株主の経営陣に対する反感が強い場合には、法令違反の事実を知った株主による刑事告発のリスクがあります。また、少数株主が経営陣と株式の買取交渉をしている場合には交渉の道具として、刑事告発を示唆されるおそれもあります。

また、各種業法などには会社などを対象とした営業停止等の行政処分が定められています。会社が行政処分を受けると、企業価値が低下し、少数株主にとって不利益といえます。しかし、剰余金の配当もないような会社であれば、株主の支配株主・経営陣に対する反感が勝り、企業価値の損失に対し抑止力が働かない可能性もあります。

このような観点からも、コンプライアンス経営の徹底は自らの身を守ることにつながるのです。

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